保育園・こども園の消防計画と訓練|作成・届出・訓練回数を解説
保育園・こども園は、自力で避難することが難しい乳幼児を預かる施設です。消防法上は「避難困難者入所福祉施設等」に準じた扱いを受ける区分が多く、収容人員が10人以上になると防火管理者の選任義務が生じ、消防計画の作成と届出が求められます。訓練は年2回以上の実施が法令で定められています。
この記事では、保育園・こども園の管理者・防火管理者の方に向けて、消防計画の作成手順・届出方法・訓練の実施要件を法令根拠とともに整理します。消防計画の無料作成サポートについては、記事末尾のCTAをご確認ください。
1. 保育園・こども園はどの法令区分に当たるか
消防法施行令の別表第一では、施設の用途ごとに防火管理の義務が定められています。保育園・こども園は一般的に6項ロ(老人短期入所施設等と同列に位置づけられる避難困難者入所福祉施設等)または6項ハ(幼稚園・保育所等)に該当するケースがあります。
どちらの区分に当たるかは、施設の認可区分・設置形態・建物の複合用途の有無によって異なります。所轄消防署に確認することを強くお勧めします。
区分によって防火管理者の選任義務が生じる収容人員の閾値が変わります。
| 区分の性格 | 選任義務が生じる収容人員 |
|---|---|
| 避難困難者入所福祉施設等(令別表第一6項ロ等) | 10人以上 |
| 特定用途(令別表第一6項イ・ハ・ニ等) | 30人以上 |
出典:消防法施行令第1条の2第3項
自園がどちらの区分に当たるかを確認せずに「うちは小規模だから不要」と判断するのは危険です。6項ロに該当する場合、収容人員10人以上で選任義務が発生します。
2. 防火管理者の選任と消防計画の届出
防火管理者の選任
収容人員が上記の閾値に達した保育園・こども園は、防火管理者を選任し、所轄消防署長へ届け出なければなりません(消防法第8条第2項)。
届出を怠った場合は、消防法第44条第8号により30万円以下の罰金または拘留の対象となります。消防計画の作成義務(第8条第1項)そのものには直接罰則はありませんが、所轄消防長等から命令を受けた後にその命令に違反した場合は、消防法第42条第1項第1号により6月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金の対象となる二段階構造になっています。
消防計画の作成と届出
消防計画は防火管理者が作成し、所轄消防署長等へ届け出ます(消防法第8条、消防法施行令第3条の2)。
消防計画に記載すべき主な事項は次のとおりです。
- 防火管理者の業務に関する事項
- 火気の使用・取扱いに関する事項
- 避難・通報・消火の訓練に関する事項
- 消防用設備等の点検・整備に関する事項
- 収容人員の管理に関する事項
- 乳幼児の避難誘導に関する事項(保育園固有の重要項目)
保育園では、乳幼児を抱えて避難する動線・担当職員の役割分担・保護者への引き渡し手順など、一般的なオフィスビルとは異なる固有の記載が求められます。
変更時の届出
用途・収容人員・組織体制などが変わった場合は、変更届の提出が必要です(消防法施行規則第3条)。法令上、定期的な見直しの周期(年1回など)を義務づける規定は確認されていません。実情が変わったタイミングで速やかに変更届を提出することが求められます。
3. 訓練の実施要件
年2回以上の実施義務
保育園・こども園の防火管理者は、消火訓練および避難訓練を年2回以上実施しなければなりません(消防法施行規則第3条第10項)。
事前通報の義務
訓練を実施する前に、あらかじめ消防機関へ通報することが義務づけられています(消防法施行規則第3条第11項)。通報の様式や運用方法は自治体・消防本部によって異なりますので、所轄消防署に確認してください。
保育園の訓練で特に重要なポイント
保育園の訓練は、一般施設と比べて次の点で難易度が上がります。
① 月齢・年齢別の避難方法の確認 0歳児は抱っこまたは避難車(ひなん車)での移動が基本です。歩行可能な年齢の子どもでも、パニック状態では指示に従えないことがあります。担当職員が誰を・どのルートで・どの順番で避難させるかを、訓練ごとに確認します。
② 職員の役割分担の明確化 調理中・午睡中・外遊び中など、時間帯によって職員の配置が変わります。消防計画には時間帯別の役割分担を記載し、訓練でも複数のシナリオを想定することが望まれます。
③ 保護者への引き渡し手順 避難後の保護者への連絡方法・引き渡し場所・引き渡し確認の記録方法を、消防計画に明記しておくことが重要です。
④ 夜間・早朝の想定 延長保育を実施している施設では、職員が少ない時間帯の訓練シナリオも消防計画に盛り込むことを検討してください。
4. 消防計画作成でよくある失敗例(想定例)
以下は、保育園の消防計画作成でありがちな失敗のパターンです(いずれも想定例です)。
想定例①:収容人員のカウントミス 「子どもの定員」だけを収容人員と思い込み、職員・送迎中の保護者・業者などを含めていなかったケース。収容人員の算定方法は消防法施行令で定められており、利用者だけでなく従業員等も含まれます。所轄消防署に算定方法を確認することが重要です。
想定例②:組織変更後の変更届を忘れる 園長交代・施設増築・定員変更があったにもかかわらず、消防計画の変更届を提出していなかったケース。実情と消防計画の内容が乖離すると、訓練の実効性も低下します。
想定例③:訓練記録が残っていない 訓練は実施したが、日時・参加人数・実施内容・反省点の記録を残していなかったケース。消防署の立入検査で記録の提示を求められることがあります。
想定例④:事前通報を忘れる 訓練を実施したが、消防機関への事前通報を失念していたケース。法令上の義務ですので、訓練計画を立てた段階で通報手続きも同時に進めることをお勧めします。
5. 消防計画の作成手順まとめ
- 施設の用途区分を確認する(所轄消防署に相談)
- 収容人員を正確に算定する
- 防火管理者を選任し、届け出る(消防法第8条第2項)
- 防火管理者が消防計画を作成する
- 所轄消防署長へ消防計画を届け出る(消防法第8条、施行令第3条の2)
- 年2回以上の訓練を計画し、事前に消防機関へ通報する(施行規則第3条第10項・第11項)
- 訓練の記録を保管する
- 用途・収容人員・組織等の変更時に変更届を提出する
消防計画の作成に不安がある方は、トドケデの消防計画に関する総合ガイドもあわせてご参照ください。
6. トドケデ消防計画(plan)で無料作成サポート
消防計画の作成は、防火管理者ご自身が行う書類です。しかし、「何を書けばよいかわからない」「保育園固有の記載事項が不安」という声は少なくありません。
トドケデ消防計画(plan)では、保育園・こども園の消防計画を無料でサポートします。質問に答えるだけで、施設の実情に合った消防計画の素案を作成できます。
- 用途区分・収容人員の確認ポイントをガイド
- 乳幼児施設固有の避難誘導・引き渡し手順の記載をサポート
- 訓練計画・記録様式のひな形を提供
書類の作成・提出はご自身(防火管理者)が行っていただきます。行政書士への依頼が必要な場合は、トドケデが提携する行政書士が受任する形でご案内することも可能です(提携行政書士による受任となります)。
まずは無料診断フォーム(/#diagnosis)から、施設の状況をお聞かせください。
担当者プロフィールはこちら(/author/maruoka-shun/)からご確認いただけます。
まとめ
- 保育園・こども園は用途区分によって、収容人員10人以上または30人以上で防火管理者の選任義務が生じます。
- 消防計画は防火管理者が作成し、所轄消防署長へ届け出ます。
- 訓練は年2回以上実施し、事前に消防機関へ通報することが法令上の義務です。
- 定期的な見直し周期を定めた法令規定はなく、実情変更時に変更届の提出が必要です。
- 乳幼児施設固有の避難誘導・役割分担・引き渡し手順を消防計画に盛り込むことが重要です。
著者:元京都市消防局13年・現役防災士(日本防災士機構認定)・消防設備士・危険物取扱者
免責事項:本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の法的助言ではありません。施設の用途区分・収容人員の算定・届出手続きの詳細については、所轄消防署または専門家にご確認ください。法令は改正される場合がありますので、最新の条文をe-Gov法令検索等でご確認ください。